「街づくりシミュレーション(シティビルダー)」と聞いて、あなたはどんなイメージを持ちますか?
広大なマップ、数百時間に及ぶ都市計画、そして後半になるにつれて重くなる処理と、マンネリ化する作業…。『シムシティ』や『Cities: Skylines』は素晴らしいゲームですが、社会人が気軽に手を出すには、少しハードルが高いジャンルでもありました。
しかし、もし「1プレイが1時間以内で終わり、毎回違う戦略が求められ、何度でも新鮮な気持ちで遊べる街づくりゲーム」があったらどうでしょう?
それが、今回レビューする『Against the Storm(アゲインスト・ザ・ストーム)』です。
ジャンルは「ローグライト・シティビルダー」。この聞き慣れない組み合わせが、とんでもない化学反応を起こしています。Steamで「圧倒的に好評」を叩き出し続ける本作が、なぜこれほどまでに中毒性が高いのか。その理由を、寝食を忘れてプレイした僕が徹底的に解説します。
『Against the Storm』とは?永遠の雨と、終わらない入植
舞台は、止まない雨が降り注ぐダークファンタジーの世界。プレイヤーは女王の命を受け、未開の地に「入植地」を建設し、資源を集めて女王に献上する総督となります。
普通の街づくりゲームと決定的に違うのは、「街を完成させて、維持することが目的ではない」という点です。
一定の評判(名声)を得てミッションをクリアしたら、その街はそこでおしまい。プレイヤーはまた次の土地へと旅立ち、ゼロから新しい街づくりを始めます。この「作って、終わらせて、次へ行く」というローグライト的なサイクルこそが、本作最大の発明です。
『Slay the Spire』好きにこそ刺さる!3つの“神”システム
一見すると地味なリソース管理ゲームに見えますが、プレイ感覚はむしろ『Slay the Spire』などのカードゲームに近いです。
① 建物は「ランダム」に配られる。アドリブ力が試される快感
このゲームでは、全ての建物が最初から建てられるわけではありません。ローグライトのカード報酬のように、ランダムに提示される「設計図」の中から、その都度選んでいく必要があります。
「今回は『製材所』が引けなかったから、木材ではなく石材中心で攻めよう」「『酒場』の設計図が来た!住民の満足度を上げてクリアを目指そう」
毎回手札(設計図)が違うため、決まりきった必勝法が存在しません。その場の状況に合わせて最適解を導き出す、パズル的な面白さが凝縮されています。
② 種族ごとの特徴とシナジー
入植地には「人間」「ビーバー」「リザード」「ハーピー」「キツネ」といった種族が住みます。彼らには得意な仕事や好みが設定されています。
- ビーバー:木工が得意。お漬物が好き。
- リザード:肉料理が得意。暖かい場所が好き。
- ハーピー:錬金術が得意。清潔な環境が好き。
「今回はビーバーが多いから木工特化にしよう」といった具合に、住民構成と手に入った設計図のシナジー(相乗効果)を考える楽しさは、まさにデッキ構築そのものです。
③ 1プレイ1時間の“密度”と、永続的な強化
1つの街(ミッション)のクリアにかかる時間は、慣れれば40分〜1時間程度。ダラダラと続くことなく、一番楽しい「発展期」だけを味わってサクッと終われます。
そして、ミッションクリアで得た報酬を使って、本拠地(スモルダリング・シティ)のツリーを強化できます。基礎能力が上がったり、新しい種族や設計図がアンロックされたりするため、「次はもっと上手くやれる」というモチベーションが途切れません。
「嵐」との戦い。緊張感があるからこそ面白い
タイトルにある通り、この世界には定期的に強烈な「嵐」が訪れます。
嵐の季節になると、住民は不安になり、士気が下がります。最悪の場合、街を捨てて去ってしまうことも。プレイヤーは、薪をくべて聖なる火を維持し、食料や嗜好品(ビールや服など)を提供して、住民の機嫌を取らなければなりません。
この「女王からの要求(タイムリミット)」と「嵐の脅威(サバイバル)」という二重のプレッシャーが、街づくりゲームにありがちな「後半の退屈さ」を完全に排除しています。常にギリギリの判断を迫られる緊張感が、クリア時の達成感を何倍にも高めてくれるのです。
【FAQ】購入前によくある質問
Q1. 難易度は高い?
A1. 最初は覚えることが多く(UIの情報量が多い)、少し戸惑うかもしれません。しかし、難易度は「開拓者(イージー)」から「プレステージ20(超ハード)」まで細かく選べます。まずは一番簡単な難易度で、チュートリアルを兼ねて数回プレイすれば、自然とルールが頭に入ってきます。
Q2. 戦闘要素はある?
A2. ありません。敵が攻めてきて街を破壊する、といったRTS的な戦闘要素はないので、じっくりと内政(リソース管理)に集中できます。敵は「嵐」と「女王の不機嫌」です。
Q3. スペックは必要?
A3. 2D調のグラフィックなので、そこまで高いスペックは要求されません。ミドルレンジのゲーミングPCや、ノートPCでも十分に動作します。
総括:街づくりゲームの“美味しいところ”だけを凝縮した傑作
『Against the Storm』は、「街づくりゲームは時間がかかる」という常識を覆し、短時間で濃密な戦略体験を味わえるように再構築した、発明品のようなゲームです。
「この設計図と、この種族の組み合わせなら…いける!」という閃き。
嵐を乗り越え、最後の納品を終えてクリアした瞬間の、「ふぅ」という心地よい疲労感。
もしあなたが、リソース管理やパズル、そしてローグライトが好きなら、このゲームは間違いなく年末年始の時間を溶かす“最高の相棒”になります。女王陛下の期待に応え、過酷な嵐の世界に飛び込んでみてください。
■ あわせて読みたい関連記事
戦略的なローグライトが好きなら、こちらの記事も絶対に刺さるはずです。


コメント